医療法人札幌いそべクリニック

漢方による治療

漢方には「本来、人間の体には病気を治す力が備わっており、様々な要因が加わって体全体のバランスが崩れることで、その力がうまく機能しなくなり不調が生じる」という考え方があります。
したがって、『 漢方治療 』とは漢方薬を使用して全身の機能をサポートし、本来備わっている治す力を引き出すことを目的としています。

西洋医学と東洋医学のそれぞれの強み

【 西洋薬 】は一般的に病気の原因が特定でき、原因別の治療が可能な場合や緊急を要する疾患や重症の感染症などの場合に優れていることが多いです。例えば【 西洋薬 】である降圧薬は、血圧が高い人でも低い人でも下げ続け、always(いつも)薬理作用を発揮します。

一方で【 漢方薬 】はひとつの薬方で様々な病状に対応することができ、not always(必要な時に)薬理作用を発揮します。「 検査を受けても異常はないのに、自覚症状がある 」など、原因の特定できない慢性の病気、体質がからんだ病気には漢方療法が得意とします。例えば、血圧の高い人には下げる作用があり、低い人には上げる作用があります。このように、本人にとってバランスの取れた状態を東洋医学では中庸(ちゅうよう)といい、ちょうどいい所まで戻そうとする作用があると考えられています。

漢方薬の原料は?

画像提供:ツムラ

漢方薬を構成する原料を生薬といいます。原料には植物の葉や茎、根など天然由来のもので薬効があるとされる一部分を乾燥させるなど、加工したものです。
桂皮(ケイヒ)はシナモン、陳皮(チンピ)は温州ミカンの皮など、身近な素材も漢方として用いられています。
これらの生薬を合わせ、漢方薬が作られます。

漢方療法によるメリット・デメリット

 ■ メリット

漢方薬のメリットは、より早期の段階で治療が始められ、西洋医学では対応しにくい冷え性など体質による症状や、病名がつかない「未病」の段階にも効果が期待できます。

■ デメリット

突然発症した急性出血や急性循環不全など救命を要する病態には不適です。また、味に癖のあるものが多く、飲みにくさを感じる方もいます。

漢方による副作用

漢方薬は自然の生薬によってできています。そのため副作用がないと思われがちですが、僅かな副作用は存在しています。薬をのんだ後、病状が悪化したり、どうもいつもと違うな?と感じた場合、服用を中止し、すぐに医療スタッフ(医師、薬剤師、看護師)に相談してください。

好ましくない症状(生薬例)

麻黄(マオウ)不眠、動悸、発汗過多
甘草(カンゾウ)むくみ、血圧上昇、筋肉に力が入りにくい
附子(ブシ)動悸、のぼせ、舌のしびれ
大黄(ダイオウ)腹痛、下痢

漢方をお勧めする方

自覚症状があるのに、医療機関で「異常なし」「原因不明」と診断された

西洋医学的な治療を受けたが、十分な効果が得られなかったと感じている

西洋医学で処方された医薬品の副作用に悩んでいる

冷えやのぼせ、肩こり、便秘、下痢などのちょっとした不調に悩んでいる

「不眠」と「イライラ」および「疲労」がつらいなど、心身の両方に症状がある

使用している西洋薬が多く多剤併用となり、かえって健康状態が悪化している人
(特に高齢者の場合、5種類以上の服薬で、様々な副作用が起こりやすくなります)

診療の流れ

漢方医学の伝統的な診断方法に基づく「見立て」(下記)を行います。
そのうえで、ご本人に適した漢方薬による治療を行います。

望診(ぼうしん)
顔色、表情、皮膚・唇・歯ぐきなどの色つや、体つき、爪、歩き方などを目で見て診察します。特に、舌の状態を重視し、胃腸の働きなどを診断します。

聞診(ぶんしん)
声の大きさや張り、話し方、呼吸音、せきの音などを聞きます。体臭や口臭がある場合も、判断材料となります。

問診
具体的に「冷え」「のぼせ」「のどや口の渇き」「汗のかき方」「めまい」「便通や排尿の状態」「だるさ」など、診察でみただけではわからない自覚症状を質問をします。

切診(せっしん)
手で体に触れて調べます。特に、手首の脈を診る「脈診」(脈をとって体力の有無などを診断)と、おなかを触る「腹診」(お腹を触診して、胃腸の状態のみでなく自律神経バランスや血行不良の有無なども診断)が重要です。

気・血・水のバランスが崩れると、さまざまな不調を引き起こします。

瘀血
(オケツ)

血の巡りが
悪い

血虚
(ケッキョ)

血の作用が
不足する

気虚
(キキョ)

気が不足する

気逆
(キギャク)

気が逆流する

気滞
(キタイ)

気が停滞する

水毒
(スイドク)

余分な水分
が溜まる

当クリニックの漢方治療について

当クリニックでの漢方治療は、症状改善の他に健康維持・健康増進を図ることを目的としています。
人間は、加齢とともにさまざまな機能が低下することで体力は衰え、試行速度も低下し、多くの疾患をかかえるようになります。しかし、誰もがそれぞれの問題をかかえながらも、生活の質を維持し最後の最後まで自分らしく納得のいく人生を送ることを望み、それを実践する権利を持っています。当クリニックはその人を一人の人間と包括的にとらえ、尊重し、単に症状を抑えるだけではなく、その人らしい生活のお手伝いをします。漢方と当クリニックの理念は共通する部分が多く、積極的に漢方治療をとりいれています。

「フレイル」の早期対策には、漢方薬が役に立つこともあります。健康な状態と要介護状態の間で、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態であるフレイルは、漢方医学の「腎虚」と似た概念であり、漢方が得意とする治療分野だといえます。フレイルに対応できる漢方薬はいくつかありますが、西洋医学にはそういった薬は存在していません。

出典:けあぴく

また、漢方医学で「頭痛」は何らかの原因によって「気」や「血」の巡りが悪くなった状態です。その原因が冷えなら体によけいな「水」がたまり、胃腸の働きの弱くなり、吐き気や嘔吐も生じます。西洋薬は痛みを抑えることを目的としますが、漢方薬は片頭痛が出やすくなっている体質的な問題を見極め、そこに働きかけて、片頭痛関連症状が増えない体質に改善することを目指します。鎮痛剤やトリプタン製剤の服用量を減らす効果も期待できます。

漢方療法の費用

医療用として処方される漢方薬(保険適用の漢方薬)は148種あり、およそ5000円位から始められます。
※クリニックでの診察代と調剤薬局でのお薬代がかかります。
※料金はあくまで目安とお考えください。検査内容や処方内容によって異なります。
※保険適用で3割負担 / 1日3回服用1か月分処方の場合

漢方療法における注意事項

【 体質改善や病状緩和のために長期服用するもの 】【 足がつる、打撲を治すためなど即効性のあるもの 】どちらも漢方の効果を上げるには、個々の患者さんの体質や症状に応じた処方が決め手となります。これには東洋医学の専門的な知識と臨床経験が必要です。

副作用のよくある原因として

・「漢方薬は作用が穏やかだから」と規定量を超えて飲む
・数種類の漢方薬を自分の判断で組み合わせて飲む
・生薬を含む市販薬やサプリメントを気付かずに併用する

また、日常生活リズムやワークライフバランス、食習慣を見直すことも大切です。
病気を治すことは、「治そう」という気持ち(自分が主役)になったご自身が実践することがなにより重要です。

診療科目
脳神経内科・脳神経外科・循環器内科・精神科・リハビリテーション科
​電話番号
011-753-6000
FAX番号
011-753-7070
住所
〒007-0836
札幌市東区北36条東15丁目1-20
​公共機関
地下鉄『東豊線』1番出口を左へ 徒歩1分 アクセスページへ
診察受付
(開錠8:15)午前8:15~12:00 午後13:00~16:30
休診
水曜午後・土曜午後・日曜・祝日